資金使途についての説明
上場時の公募増資により調達する資金の使途及びその投資回収計画は、上場審査時の提出書類にもなっていますし、公衆に縦覧される開示書類にも記載が必要なものです。
上場前の段階でVCなどからの資金調達を行う場合にも、何故その資金が必要で、どうやって回収していくのかの説明を当然行うでしょう。
通常、中期経営計画の中で事業をどう伸ばしていくかという説明が行われ、その中でどのタイミングでどれだけの資金が必要なのかということが説明されるはずです。しかし中には通常の利益の範囲内での恒常投資だけでそれなりの成長ができてしまうようなビジネスモデルの場合、上場時に調達した資金の使途がうまく説明できないような場合もあるでしょう。資金調達は事業計画達成の上でどのように必要なものなのかということを関連づけていくことが必要です。説明できないような資金を投資家から集めるというのは投資家を騙す事にもなりかねませんので、上場審査上も丁寧な審査が行われることになります。
資金使途の内容
調達した資金の使途は、そのタイミングに合わせて将来の事業計画に正確に反映させる必要があります。たとえば設備投資であれば投資をしたタイミングで貸借対照表に反映されると同時に、減価償却が開始され費用が損益計算書に反映されます。人材獲得費用や研究開発費などのように直接損益計算書にヒットするような投資もあるでしょうから、そのような費用が適切に事業計画に反映されていなければなりません。
先行投資として当面赤字が続きます、と言える会社はいいのですが、既に利益を出していてその維持も必要な会社にとっては、結構悩ましい問題です。
営業電話がかかってくる?
資金使途の内容は目論見書や有価証券届出書などに開示されますので、それを見た業者からの営業電話がかかってくることも覚悟しましょう。たとえば店舗展開をしますと言えば、不動産業者や建築関係の業者から電話がかかってくるでしょうし、社内のコンピューターシステムを導入すますと書けばきっとシステムベンダーがアプローチしてくるでしょう。人材獲得のための投資にいくらと書けばきっと人材紹介会社が訪ねてくるでしょう。
しかしこれらは上場会社になって知名度が上がるというメリットでもあるので、むしろ積極的に活用してはどうでしょうか。
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