その2 1年前までの記載でいったん提出

有報との違い

Ⅰの部の記載内容は、上場企業が作成・提出する有価証券報告書とほぼ同じです。違うのは有価証券報告書にはない「第4部 株式公開情報」という項目です。ここには最近の株式の移動状況や第三者割当の概況、新株予約権の発行状況そして全株主の株主名簿を記載します。

 

参考資料は豊富

Ⅰの部は、証券印刷会社のマニュアルが充実していますし、東証のウェブサイト等から他社事例もいくらでも入手することができますので、個々の内容の記載方法については説明致しません。

 

1年前までの記載でいったん提出

証券会社では、上場審査部による審査に先立ち、公開引受部が審査に対応できるようにコンサルティングを行います。通常、上場直前期の始め頃からこのような作業に入りますので、このタイミングでいったんⅠの部を仮提出します。この段階では決算数値は上場直前々期分までしか確定していませんので、その数値までを記入してⅠの部を作成します。

 

Ⅰの部は何度も見直すもの

新興市場に上場するような会社では直前々期と直前期で事業の内容なども大きく変化することもあるかもしれませんが、一旦はその時点の状況でⅠの部を記載せざるを得ません。提出会社の状況やコーポレート・ガバナンスの状況なども本来は最終的な提出日現在での記載が求められますが、ここでは直前々期末の情報をもとに作成します。

 

一見無駄な作業のようにも思えますが、Ⅰの部は何度も何度も作り直すことによって洗練されていくものだと割り切ってください。