その5 目論見書にも変身

目論見書

もう一つ似たような書類に、目論見書(もくろみしょ)と呼ばれるものがあります。正式名称は「新株式発行並びに株式売出届出目論見書」という名前です。本文は有価証券届出書と全く同じものになります。これにカラーページと呼ばれるハイライト情報を冒頭に追加して、上場承認日に発行されます。

 

この目論見書の用途は、主幹事証券会社をはじめとする株式引受シンジケート団の証券会社が株式の勧誘をするときに使うカタログの役目をしています。伝統的には証券会社の支店の営業マンがこの目論見書を持って投資家を訪問し、IPO 株式の購入を勧めていました。現代ではネットを通じて情報が得られますので、印刷する部数も減ってきているようです。

 

東証のチェックも入る

目論見書冒頭のカラーページは数ページ程度です。ここには事業の概況や業績の推移、事業内容の説明などを図表や写真を用いて解説する部分になります。基本的には本文に書かれている事項の一部を転載する形になります。誇大広告になっていないかどうか、東証のチェックも受けます。

 

目論見書は残らない

この目論見書は正式な提出書類ではありませんので、有価証券届出書やⅠの部のように永久にネット上に晒されることはありません。シ団になっている証券会社の顧客向けページや、一部のIPO専門 ウェブサイトで目論見書を掲載しているような場合を除き、一般公開はされませんので紙の書類だけに止まるケースも多いようです。個人投資家の中にはこれをコレクションしている人もいると聞いたことがあります。