その12 ストックオプションの行使方法

行使期間が来ればいつでも行使可能

税制適格ストックオプションは、付与から2年以上経過しないと行使が出来ませんが、それが上場直後に重なる場合には、さらに上場後6ヶ月程度の期間を経てから行使期間が開始されるように設計します。

 

行使期間が来たら、ストックオプションの権利を持っている役職員等はこれを行使して現物の株式に変えることができます。

 

インサイダー規制に引っかからないように、会社によっては株式を売却する期間を定めているケースも多いです。よくあるのは各四半期決算日から決算発表日までの期間を株式の売買禁止期間とするといった内容です。ただし、ストックオプションの行使自体はインサイダー取引規制の対象外ですので、行使期間中であればいつでも行使することはできます。

 

行使の手続きは、会社の総務部等で受け付けます。

 

付与は無償でも行使は有償

税制適格ストックオプションはいわゆる無償ストックオプションのひとつですから、付与自体は無償でした。しかし、行使をする際にはあらかじめ定められた行使金額を会社に対して払い込む必要があります。名実ともに会社に出資するわけですね。もっとも、上場後の株価に比べれば、はるかに低い金額で算定された行使価格ですから、取得した株式を売却すれば確実に回収はできますが、それまでの間は先行投資の状態になります。

 

いつ行使するのがよいか?

行使期間は10年程度に設定することが多いです。期間中であればいつでも行使可能です。

上述のとおり、行使金額の分だけ先行投資になりますので、資金繰りの厳しい人は、売却の時期を決めてから、なるべく日を空けずに行使するのがよいでしょう。資金繰りに余裕があるなら、早めに行使しておくのがお勧めです。議決権行使や配当金受領の権利が得られますし、機動的に売却時期を待つことができます。

会社としても発行済み株式数が増えて(又は自己株式が減って)流動性が高まるのは良いことです。また、退職すると権利を喪失する条項が付いている場合もあるので、その場合にはなおさら早めの行使が望まれます。 

 

コストの面から行使期間を特定することも

ストックオプションを行使すると、証券会社や信託銀行との間で株式事務手続きが発生します。また資本金も増えますので、商業登記を行う必要があります。そうすると、手続きのための手間だけでなく、登記費用が毎回かかることになりますので、会社のコスト負担を考え、行使の受付を四半期ごとの月末等に限るなどの協力要請を出すこともあります。