その1 上場申請に係る事前確認

上場申請に係るエントリー

上場申請の1週間前に事前確認が行われますが、さらにその1週間前に事前確認の事前確認とも言えるエントリーという手続きがあります。主幹事証券会社において、その会社を上場申請することについての社内決裁を取ったうえで、「上場申請エントリーシート」を主幹事証券会社が東証に提出しますので、会社側は特に気にしていなくて大丈夫です。

 

事前確認

上場申請の1週間前には、「事前確認」というものが行われます。これも主幹事証券会社側で行うものになります。事前確認においては、主幹事証券会社が行った審査結果が東証に対して説明されます。当たり前ですが、問題点は残存していないことが前提です。

その他、反社会的勢力との関係がないか、マザーズ上場であれば高い成長可能性があるかといった点について、事前チェックが行われます。

 

主幹事証券会社による経緯の説明

その際、主幹事証券会社は、それまでに行った証券審査の内容をまとめて、「公開指導・引受審査の内容に関する報告書」を作成して東証に提出しますが、これは上場申請会社には非公開となっています。

報告書の中には主幹事証券会社と上場申請会社の関係が始まった経緯や時期などについての記載もあり、主幹事証券会社に途中交代があったような場合には、特にそのあたりの経緯が関心事項となります。

 

上場スケジュールのすり合わせ

また、事前確認を通じて上場までのスケジュールが打ち合わせされます。主幹事証券会社側が想定するファイナンス日程を東証に提示しながら、東証側の審査日程を調整します。

マザーズ上場の場合の審査期間は2ヶ月とされていますが、申請会社の集中度合い、夏休みやゴールデンウィークなどのカレンダー、その他いくつかの事情により日程に調整が必要な場合もありますので、その辺りについて東証と主幹事証券会社間ですり合わせが行われます。

 

IPOウィンドウ

上場申請に係る事前確認を経て、上場審査スケジュールが決まります。上場申請は直前期に係る定時株主総会から1年以内に行われます。

上場申請期のどのタイミングで上場承認がおりるかを「 IPO ウィンドウ」などと呼ぶことがあります。前期に係る定時株主総会直後に上場を申請し、申請期の第2四半期に上場するようなケースが最速のペースになります。最も多いケースが申請期の第3四半期又は第4四半期に上場するケースで、標準的なスケジュールと言えます。

 

期越え上場

また、申請期中の第4四半期までに申請を行うものの、上場承認が翌期(ただし定時株主総会よりも前)にずれ込むことがあります。

これを「期越え上場」と呼びますが、翌期の業績予想が不確実な場合に、ギリギリまで蓋然性を確認してから上場を承認するようなケースで、近年では増加傾向にあります。