その5 必要に応じて参画する人たち②

司法書士

法人には商業登記が義務付けられています。もちろん会社内で自ら法務局へ行って手続きしても構わないのですが、司法書士に手続きを依頼する会社は多いでしょう。上場準備から上場後にかけて、定款の変更や役員の選解任、新株やストックオプションの発行、株式分割など多くの要登記イベントが発生します。

司法書士の場合には、毎月定額の顧問契約というよりは手続や相談が必要な都度、随時依頼するようなやり方が多いようですが、いつでも司法書士に依頼できるような関係を用意しておくことをお勧めします。

 

社会保険労務士

近年は、上場審査において労務問題がクローズアップされることが多いようです。労基法違反が即審査一発アウトになるというのはさすがに都市伝説だと思われますが、労働法規はシロクロがはっきりと分かりやすいので、審査上もクロいものをそのまま放っておくわけにはいかないのです。

従業員が労働している限り、何らかの論点は生じて当然です。しかし、様々な状況下で、様々な影響度合いがありますので、法的な解釈とその対応策や影響の大小などをしっかりと説明し、納得してもらうことが重要です。そのためにも労働法規に詳しい社会保険労務士の支援を仰ぐことは大変有効です。

社会保険労務士にも給与計算や社会保険料計算の代行を専門に行っているところもあれば、労働法規へのコンプライアンスに詳しい事務所もあります。得意分野を確認したうえで、適切な事務所に依頼しましょう。

 

IPOコンサルタント

コンサルタントは必須なものではありませんが、会社との役割分担において、必要なノウハウやリソースを提供してもらえるプレイヤーとして有効な手立てです。

コンサルタントにも様々な領域があり、得意領域ごとにうまく使い分けると良いでしょう。上場準備における論点や、会計、人事などで経験の深いコンサルタントから有益な情報を得られることもあるでしょうし、社内文書や申請書類の作成など人手が足りない部分をアウトソースする先として活用することも有益です。

 

IRコンサルティング会社

企業の IR 情報開示や開示資料の作成や公表の仕方、タイミング等をアドバイスをしてくれる会社です。未上場企業においてはこのようなノウハウを持ち合わせていないケースもあります。

依頼するタイミングとしては上場申請期(N期)に入ってからで十分です。上場審査に必要な書類は主幹事証券会社がアドバイスしてくれるでしょうから、IPO直前に提出する開示資料やロードショーの時に使用するプレゼン資料などのタイミングで助言を仰ぐことは有効です。ただし、必須のものというわけではないので、社内に経験者がいる場合や、デザインセンスのある担当者がいるなら、社内で完結してもまったく問題ありません。