IPOとは、会社を切り売りすること
上場して IPO をするということは、会社を部分的に売却するということです。それによって、会社や既存株主に資金が入ることになりますが、同時に新しい株主の参加により株主構成が変化します。これらをバランスよく総合的かつ戦略的にプランニングするのが資本政策です。
中期経営計画が前提
資本政策において大前提となるのが、会社の中期経営計画です。どのタイミングでどれだけの資金調達をし、それによってどれだけ会社が成長するかをシミレーションします。会社の部分的な売却との引き換えによる資金調達ですから、その資金による効果と連動していなければなりません。密接な関連というよりは、むしろ資本政策は事業計画の一要素といってもよいかもしれません。
証券会社の助言が大事だが
資本政策の立案にあたっては、会社法や金融商品取引法、税法などの様々な法律や、証券取引所の上場規則が関係してきますから、証券会社や専門家の助言を得ながら慎重に検討していく必要があります。
とはいえ、証券会社が計画した資本政策をそのまま鵜呑みにして進めてしまうことは避けましょう。成長投資には不十分な資金調達しかできなかったり、逆に調達した資金の使途に困ってしまったり、あるいは株主構成が崩れて上場後の会社支配や、セカンドファイナンス(上場後の資金調達)に支障をきたすといったことも時として見られます。
上場前規制に注意
新規上場にあたっては、各証券取引所の形式基準において定められている上場前規制を遵守する必要があります。以前は上場直前のファイナンスそのものが禁止されていた時代もありましたが、現在はファイナンスに関しては原則として自由、その代わりに一定期間内のファイナンスについての開示が義務付けられています。この辺りの詳細については、専門書や証券取引所の規則集などを参照してください。
資金調達のタイミングにも注意
上場の最大の目的を資金調達に置くのであれば、上場時もしくは上場後の株式市場における資金調達を資本政策の主軸に据えれば良いでしょう。
しかし中には、上場前にベンチャーキャピタル等から出資を仰ぎ、未上場のうちに資金調達をするケースもあるでしょう。また特定のキャピタルからの大口出資ではなく、複数の投資家から分散して資金調達をするというケースもあるかもしれません。この場合には、金融商品取引法上の「募集」に該当しないかどうか注意が必要です。募集に該当すると一定の届出と開示といった手続きが必要になります。
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