社長の持株比率が重要なのはベンチャー企業だけ!
よく証券会社からは「安定株主対策が重要です。社長は33%超の株式を保有し続けてください。」と言われますし、IPOの入門書にも必ずそう書いてあります。ですから、社長もその言葉を信じて疑いません。本当にそうなのでしょうか。
たしかに、「新興市場におけるオーナー系会社」の上場にあたっては、安定株主対策が重視されます。
ところがです。上場から何年も経っているような多くの大企業の株主構成を見てください。大企業では、一見すると安定株主はいません。代わりに安定的に長期保有をしてくれる機関投資家や個人のファン株主がガッチリと脇を固めているため、創業者一族の持株割合は必ずしも高くありません。
安定株主の必要性は、中長期的に株主を安定させ経営者が主導的に経営を行えるよう議決権を確保することにあります。
しかし、新興市場に上場するベンチャー企業などは、高い成長性とは裏腹に経営の不安定さも併せ持っているため、なかなか機関投資家には保有してもらえません。そのため「しばらくの間」は、創業者などの身内の安定株主が議決権の多数を保有しておく必要があるのです。
最も確実な安定株主は創業者本人
最も確実な安定株主は創業者経営者本人です。しかし、気をつけなければいけないのが相続です。若いと思っていても、いつ何が起きるかわかりません。
上場によって設立時の何十倍もの株価が付き、億万長者になったのはいいけれど、相続の際に遺族が相続税を支払えず、やむを得ず自社株式を売却して株主が分散することになっては、安定株主対策が崩壊してしまいます。
資産管理会社を利用した相続対策についても下記をご覧ください。
役員にも株を持たせよう
次の安定株主候補は経営者以外の役員です。経営責任を明確にするためにも役員には株式を持たせることが推奨されます。ただし留意点としては、社長との間で経営方針の対立があれば逆に敵対的な株主になる可能性があるという点です。
従業員はどうか
従業員も雇用期間中は安定株主ですが、昔とは異なり定年まで勤務するとは限らないので、安定株主度としては弱いものになります。したがって、現物株式を持たせるのは、将来の幹部候補に限定し、それ以外の一般従業員には、後述する従業員持株会制度の導入を考えましょう。
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