その4 ディスクロージャー体制の整備

上場後の開示義務とその体制

上場後は、金融庁(財務局)への法定書類の提出義務と、その内容を含む多方面の会社情報の開示義務が発生します。上場するということは、不特定多数の投資家が会社におカネを出してくれることになるので、彼らに対し、正確な情報を速やかに、そして不公平のないように開示する義務が発生します。上場審査に際しても、そのような体制がきちっと敷かれているかどうか、大いなる関心をもって審査対象となります。

 

会社法上の開示書類

まず一つは、会社法関連の書類、計算書類や事業報告といったものです。会社法や会社計算規則にきちっと準拠している書類を作らなければいけませんが、未上場の会社がこれらに確実に準拠しているケースはむしろ稀だと思います。

株主総会決議の瑕疵になっていなかったかどうか、過年度分から見直しが必要になります。過去の書類を改めて作り直すということも珍しくありません。

また大会社なのか、それ以外の会社なのかによって、あるいは監査役会など会社機関の違いによっても、記載方法が異なってきますので、そのステージに合わせた書類作りが必要です。

 

金商法上の開示書類

次が金商法関連の書類です。有価証券報告書や四半期報告書ですね。監査の対象となる決算期はもちろんですが、それ以前の期についても、有価証券報告書のハイライト情報の対象になってきますし、上場審査でも訊かれますので、少なくとも大区分の間違いがないかどうか、注意してチェックする必要があります。

上場申請のための有価証券報告書いわゆるⅠの部についても、有価証券報告書がベースとなっていますし、上場後もⅠの部をベースにアップデートが加えられていくことになりますので、上場準備段階での開示書類の正確な作成は大変重要なものになります。

また決算短信をはじめとする、取引所規則に対応した適時開示の準備も必要です。実際の適時開示は、もちろん上場してからの話になりますが、適切な適時開示に対応する能力があるかどうか、対応する体制ができているかどうかについては、重要な審査項目になります。