その3 税務対応の体制づくり

顧問税理士はずっと必要

続いて税務です。上場後も税務顧問はずっと必要です。もちろん内容が高度化しますので、個人会計事務所では対応が困難になってくることはあるでしょうが、いきなり大手の税理士法人に変えなければ上場審査に通らないわけではありませんし、監査法人とは違い、複数の税務顧問がいても構いません。

 

過年度の税務申告

上場準備にあたっては、先ほどの会計と同様、過年度の税務申告についての検証が必要になります。申告漏れやミスがなかったかどうか、修正申告の必要はないかといったことがポイントになります。重加算税などを課されると致命傷になりかねませんので、十分注意しましょう。

 

税制改革への対応

予算策定や中期経営計画策定上も大きく影響する場合がありますので、税制改革に対応したタックスプランニングについて早めに動けるようにしたいものです。

 

また上場前後の増資により、資本金額が増加することが多いでしょう。特に1億円を境に適用される規則が大きく異なってくるものがあります。外形標準課税とか、留保金課税とか、その他様々な中小企業特例など、中期経営計画の策定に影響しますので、この辺りも早めの準備を心がけてください。

 

税務申告も自計化が必要

非上場のうちは、税務申告のみならず、通常の決算の一部も会計事務所にアウトソーシングしているケースは珍しくありません。しかし上場準備の期間中に、これを可能な限り内製化する必要があります。経営者の中には、決算なんて会計事務所がやるものなんじゃないの?と平気で思っている方も多いです。ですが、上場会社の大原則として、日常的なことは会社内でコントロールできることというのがあります。

会社は、四半期ごとの決算と将来の業績予想を適時に公表します。そして業績に重要な影響を及ぼすような事象が生じたら、速やかにその内容を公表しますので、それをいちいち会計事務所に問い合わせるわけにはいきません。会計事務所と会社との役割分担が変わることになりますので、もしこれまで記帳代行をしてもらっていたのであれば、徐々にチェック機能へと移行していくことになります。