その5 申請前の臨時株主総会

臨時株主総会の時期

譲渡制限会社から株式譲渡制限規定を外し公開会社になるには、上場が見えてきたタイミングで、臨時株主総会を開催して定款を変更することが一般的です。拙速に譲渡制限を外してしまって、上場が実現できなかった場合に無用の株式移動を防ぐため、直前のタイミングで行います。

 

臨時総会は特別決議

非公開会社が譲渡制限を撤廃して公開会社となる場合には、臨時株主総会を開催して定款の変更を行う必要があります。定款変更ですから、株主総会における特別決議、すなわち2/3以上の賛成が必要となります。

非上場かつ譲渡制限なしの状態は、株式が自由に移動できることから、非常に不安定な状態と言えます。上場が見えてきたタイミング、具体的には証券会社の引受審査の終盤あたりまで引っ張ってから開催するのがよいでしょう。

 

役員は全員改選

譲渡制限を廃止する定款変更を行った場合には、在任中の役員の任期も自動的に満了となりますので、改めて取締役を選任することになります。譲渡制限の有無により、まったく性格の異なる別の会社になるという考えからです。もちろん選考の結果、適任であるということであれば、同一メンバーの再任も問題ありません。

 

定款変更のラストチャンス

また、同じタイミングで、会計監査人の選任を行い、金商法に準ずる監査契約を結んでいる監査法人を会社法上の監査人としても選任します。

そのほか、必要な定款変更、例えば、公告の方法、単元株制度、その他細かな字句修正など、最後の修正チャンスとなりますので、この臨時株主総会をフルに利用しましょう。