日本伝統のガバナンス体制
伝統的な日本の株式会社のガバナンスは監査役会設置会社に代表されるマネジメント型のガバナンスと呼ばれる形です。この仕組みは、経営に関する意思決定を社外取締役や監査役も出席する取締役会の場で議論をしながら決定をしていく、すなわち経営執行と監督機能の混合型と言われるガバナンス形態です。
日本の高度成長期時代には、皆が同じ方向を向いていましたのでこのようなマネジメント型のガバナンスは適しており、役員間で意見が対立することは少なく、次々と前向きな新しい施策を打って、多くの日本企業が成長を遂げました。
失われた20年のガバナンス
しかしその後成長停滞期に入ると、リスク管理の重要性が叫ばれるようになり、マネジメント型の取締役会ではなかなか物事が決められなくなってしまいます。社長のタイプもぐいぐい引っ張る大物経営者が少なくなり、サラリーマン社長が増えてくると、取締役会で反対意見にあうと委縮してしまい、やりたいことがやれなかったり、やれたとしても縮小した計画になってしまったり、その結果20年~30年ほどの間、日本の成長が止まってしまった原因にもなっています。
ガバナンス改革
そこで2015年から始まったのがコーポレートガバナンス改革です。当初、このコーポレートガバナンス改革により、厳格なコーポレートガバナンスコードが出た時には、なぜこんなに経営者をガチガチに縛るんだろうという印象を持った方も少なくないでしょう。しかし実はこれは全く正反対の考えで、成長が止まってしまった日本の企業を、昔のようにあるいはアメリカの企業のように、ぐいぐいと成長していく企業に戻すための改革だったのです。
新興企業には合っているのか?
IPOを目指すような新興企業の創業経営者は、独自の本能的な嗅覚を持って会社を引っ張っていくことが少なくありません。そのような経営者の頭を上から蓋してしまっては、成長の芽を摘んでしまうことになりかねません。そのような経営者がいるのであれば是非ともトップリーダーとして会社を大きく育ててもらいたいものです。その代わり、きちっとしたガバナンスを敷いて、その暴走を食い止めるセーフガードを作っておこう、これが新しいコーポレートガバナンスの考え方です。
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