IPO -監査等委員会で上場

その1 これまでのガバナンス
IPOを目指すような新興企業の創業経営者は、独自の本能的な嗅覚を持って会社を引っ張っていくことが少なくありません。そのような経営者の頭を上から蓋してしまっては、成長の芽を摘んでしまうことになりかねません。

その2 会社を成長させるガバナンスとは
細かいことは経営会議などに任せ、本当に大局的かつ基本的なことだけを取締役会で決議する形に改め、あとは全速力で駆け抜けて行ってもらいます。その代わり、1年経って、もし結果が出ていなければクビにするぞ、これでいいわけです。

その3 会社法が用意する統治体制①
モニタリング型統治の最右翼である指名委員会等設置会社は、取締役会の権限を最重要経営課題のみに削ぎ落とし、業務執行は執行役又は執行役員に委譲した形態です。なお、執行役は会社法上の会社機関、執行役員は任意の役職で、それぞれ取締役との兼任が可能です。

その4 会社法が用意する統治体制②
モニタリング型統治のひとつの例である監査等委員会設置会社は、指名委員会等設置会社同様、執行取締役(執行役員を兼務する取締役)と、非業務執行取締役(通常社外取締役)からなり、最小限の基本構成は代表取締役+複数の社外取締役となります。

その5 上場申請前に移行
監査等委員会設置会社の場合には監査役会はありませんので、取締役の2名以上が社外であることという要件を満たせば良いことになりますから、最低限のボードメンバー想定であれば社外取締役は2名で済むということになります。

その6 移行のプロセス①
モニタリング型統治への移行で最も現実味のあるのは監査等委員会設置会社への移行と考えられますので、その場合のプロセスについて見ていきましょう。 主な段取りは次のとおりです。

その7 移行のプロセス②
まず必要なのは、定款の変更及びそれに関連する諸規程の変更案作成です。会社の機関設計は定款に定める事項ですので、株主総会に諮り特別決議(2/3の賛成)を得る必要があります。